2017/10/15

事件を依頼している弁護士が業務停止になった場合の依頼者の対応方法(弁護士が解説)

執筆者 編集部弁護士

最近、弁護士法人アディーレ法律事務所及び元代表社員の石丸幸人弁護士が東京弁護士会から景表法違反でそれぞれ2カ月の業務停止及び3カ月の業務停止の懲戒処分を受けたとの報道がありました。報道によると、東京弁護士会が設けた臨時電話相談窓口には、「法律事務所と連絡がとれない」「既に支払った弁護士費用や着手金、預かり金はどうなるのか」など、不安を訴える内容の問い合わせが2日間で約2000件もあったようです。

そこで、今回は残業代請求や不当解雇などを依頼している弁護士又は弁護士法人が業務停止の懲戒処分を受けた場合に依頼者はどうすればよいのか簡単に解説したいと思います。

1 業務停止処分とは

1.1 業務停止処分は比較的重い処分

弁護士会は、所属する弁護士又は弁護士法人が弁護士法、所属弁護士会の規則、日本弁護士会の規則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があったときには、当該弁護士又は弁護士法人を懲戒することができます(弁護士法56条)。

懲戒処分には、戒告、二年以内の業務の停止、退会命令、除名の4種類があります(弁護士法57条)。

業務停止処分は4つ懲戒処分の中で3番目に重い処分ということになりますが、上の2つである除名と退会命令は弁護士生命を奪うほどの重い処分であるため、これらの処分が下されることは滅多にありません。したがって、業務停止処分は比較的重い処分といえます(※1)。

※1 2017年10月11日付の東京弁護士会会長の談話(https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-481.html)ご参照

1.2 業務停止処分の効果

弁護士又は弁護士法人が業務停止処分を受けた場合、その弁護士及び弁護士法人の所属弁護士は、原則として、業務停止期間中は弁護士としての業務を行えなくなり、依頼者から委任されている事件を辞任(委任契約を解除)しなければなりません。

ただし、業務停止処分を受けたのが弁護士法人である場合は例外が設けられており、弁護士法人の所属弁護士は、業務停止前から個人で受任していた法律事件及び顧問契約の業務を行うことができます。また、依頼者が希望する場合には、業務停止処分によって弁護士法人が辞任した事件について、弁護士法人の所属弁護士が個人で引き継いで受任することも認められています。

2 依頼者がとるべき行動

2.1 まずは委任契約書を確認する

残業代請求や不当解雇等を依頼している弁護士又は弁護士法人が業務停止処分を受けた可能性がある場合、まずは手元にある委任契約書を見て、残業代請求や不当解雇について誰との間で委任契約を締結しているのか確認してみましょう。

仮に、委任契約を締結して事件を依頼した相手が業務停止処分を受けた弁護士又は弁護士法人本人である場合、その弁護士又は弁護士法人はその依頼している事件を辞任(すなわち委任契約を解除)することになります。
したがって、しばらく待っていればその弁護士又は弁護士法人から依頼者の下に辞任(委任契約の解除)の連絡が送られてくることになるでしょう。

この場合、弁護士側の事情で辞任(委任契約を解除)するわけですから、弁護士に対して着手金などを既に支払っている場合は返金される可能性があります。ただし、事件の処理がある程度進んでいる場合は、その進捗状況に応じて一部のみの返金になる可能性もあります。

2.2 弁護士法人の所属弁護士に個人で事件を引き継いでもらうか判断する

業務停止処分を受けたのが弁護士法人である場合は、依頼者が希望すれば、業務停止処分によって弁護士法人が辞任(委任契約を解除)した事件について、弁護士法人の所属弁護士が個人で引き継いで受任することが認められています。

したがって、その弁護士法人からは辞任の連絡と共に、依頼者が希望する場合には所属弁護士が個人で事件を引き継ぐことができるという旨の連絡が来る可能性があります。

業務停止処分を受けた弁護士法人に依頼していた事件について、その弁護士法人の所属弁護士に個人で事件を引き継いでもらうのか、新しい弁護士を探すのかは難しい判断になるでしょう(※2)。

ある程度事件が進んでいる場合は、その弁護士法人の所属弁護士に個人で事件を引き継いでもらった方が事件の処理がスムーズになる可能性があります。また、弁護士法人に対して既に着手金などの報酬を支払っている場合には、所属弁護士に個人で事件を引き継いでもらった方が報酬の返金についても比較的フレキシブルに協議できる可能性があるでしょう。

他方で、まだ弁護士報酬を支払っていない場合、まだ依頼したばかりである場合、依頼していてもほとんど事件の処理が進んでいない場合などには、新しい弁護士を探して改めて依頼した方が事件の処理がスムーズになる可能性があるでしょう。

※2 東京弁護士会は、弁護士法人アディーレ法律事務所に対する業務停止の懲戒処分に関する対応のため、2017年10月現在、臨時相談窓口03-6257-1007を設置しています。

2.3 新しい弁護士を探す

新しい弁護士に事件を依頼する場合、業務停止処分を受けた弁護士又は弁護士法人に対して委任契約の解除の連絡をする必要があります。具体的にどのような手続きをとるべきかは新しい弁護士を見つけてから新しい弁護士に相談すればよいでしょう。

残業代請求や不当解雇について新しい弁護士を探す場合、事件の処理の遅れを取り戻すためにも残業代請求や不当解雇に詳しい弁護士に依頼した方がよいでしょう。
残業代・解雇弁護士サーチを使えば、ご自身の住んでいる地域で残業代請求や不当解雇問題を扱っている弁護士を簡単に検索することができます。

もし今回あなたが弁護士法人アディーレ法律事務所に残業代請求や不当解雇について依頼しているなら、一度残業代・解雇弁護士サーチで新しい弁護士を探してみてはいかがでしょうか。

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