2017/11/20

36協定の上限を越えると残業代はもらえない?残業と36協定の関係(弁護士執筆)

執筆者 編集部弁護士

36協定(サブロク協定)のある会社で長時間残業した場合、会社から「月の残業時間が36協定の上限45時間を超えているので、残業代は出ない」と言われることがあります。このような場合、36協定の上限を越えると残業代はもらえないのか疑問に思う方もいるかと思います。
そこで、今回は、残業と36協定の関係や「36協定の上限を越えると残業代は払ってもらえないのか」について解説します。

1. 36協定(サブロク協定)とは?

36協定とは、労働基準法(労基法)36条により、従業員に残業(時間外労働)や休日労働をさせる場合に、会社が労働組合と結ばなければならない協定をいいます。また、会社は労働組合と結んだ36協定を労基署に届け出る義務があります。(※)

逆に言えば、36協定がないにもかかわらず、従業員に残業や休日労働をさせると、会社は労基法36条違反となります。(残業等をした従業員が労基法違反となるわけではありません。)

※ 正確には、法定労働時間(通常は1日8時間、1週間で40時間)を越えて従業員を働かせる場合や法定休日(原則週1日)に従業員を働かせる場合に、36協定が必要となります。そのため、従業員を法定労働時間の範囲内で残業させる場合、例えば、定時の労働時間が1日7時間の従業員に1時間残業してもらう場合には、1日8時間の法定労働時間を越えないため、36協定は不要です。

※ 労働組合は、労働者の過半数で組織する労働組合である必要があります。そのような労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者と36協定を結びます。

 

2. 36協定の内容(残業時間の上限等)

36協定では、下記の(1)~(8)の内容を定めなければならないものと決められています。

※ 下記で出てくる「時間外労働」とは、法定労働時間(通常は1日8時間、1週間で40時間)を越える労働をいいます。

(1)1 日の時間外労働(残業)時間の上限

坑内労働等の法令で定める危険有害業務については、1日2時間まで

(2)一定の期間(3か月以内)の時間外労働(残業)時間の上限

2日以上3か月以内の一定の期間の時間外労働の上限を定めます。
この上限時間には、厚労省の告示で上限が決まっていて、例えば1か月の場合には45時間以内(※)にしなければならないことになっています。
※ 対象期間が3か月を越える1年単位の変形労働時間制の従業員については、42時間。

ただし、このルールには2つの例外があります。
1つ目の例外として、建設業、自動車(トラック、バス、タクシー等)の運転、研究開発等については、上記の厚労省の告示による上限は適用されません。

次に、2つ目の例外として、36協定に特別条項がある場合には上記の厚労省の告示による上限を越えて残業をさせることができることになっています
特別条項とは、①上記の厚労省の告示による上限を越えて残業させる事情(理由)、②その場合の会社と労働組合との間の手続、③残業時間の上限、④上記の厚労省の告示による上限を越える残業の割増賃金率等を定めるものです。
特別条項によって残業させる場合には、残業時間はできるだけ短くするように努力しなければならないとはされていますが、具体的な残業時間の上限は法令では決められていません
そして、この特別条項による残業は、1年のうち半分まで適用できることになっています。
(1週間の労働時間に法律上の上限があるドイツやフランスの方が聞いたら驚くでしょうね・・)

なお、小学生未満の幼児の育児をしている従業員や家族の介護をしている従業員については、原則として1か月24時間までしか時間外労働をさせてはならないことになっています。

(3)1年間の時間外労働(残業)時間の上限

1年間の時間外労働時間の上限についても、厚労省の告示で上限が決まっていて、360時間以内(※)にしなければならないことになっています。
※ 対象期間が3か月を越える1年単位の変形労働時間制の従業員については、320時間。

ただし、例外として、建設業、自動車(トラック、バス、タクシー等)の運転、研究開発等については、この360時間の上限は適用されません。

なお、小学生未満の幼児の育児をしている従業員や家族の介護をしている従業員については、原則として1年で150時間までしか時間外労働をさせてはならないことになっています。

(4)時間外労働(残業)・法定休日労働をさせる具体的な事情(理由)

例:急な受注、納期の変更

(5)時間外労働(残業)・法定休日労働をさせる業務の種類

業務の種類を細分化して、時間外労働をさせる必要のある業務の範囲を明確にしなければならないとされています。

(6)時間外労働・法定休日労働をさせる労働者の数

(7)休日労働をさせる休日等

法定休日に従業員を労働させる場合に必要となります。
※ 法定休日については、法定休日に関する残業代Q&Aをご覧ください。

労働をさせることができる休日と、始業・終業時刻(又は労働時間数)を定めます。
労働をさせることができる休日については、「法定休日のうち1箇月に○回」や、「第 2 日曜日」といった形で定めます。

(8)有効期間

有効期間は1年以上とする必要があり、1年が望ましいとされています。
ただし、36協定が労働協約(労働組合法で定められている会社と労働組合との間の協約)で結ばれた場合は、有効期間の定めはなくてもかまいません。

3. 36協定の上限を越えても残業代は払ってもらえる

結論から言えば、36協定の上限を超えて残業をした場合でも、従業員には実際の残業時間どおりに残業代を払ってもらう権利があります

なぜなら、36協定で決まっている残業時間の上限は、会社(使用者)が守らなければならないルールなので、会社がこのルールを守らなかった場合に従業員が不利益を受けるべきものではないからです。そのため、36協定の上限を超えて残業をした場合でも、残業時間どおりに残業代を払うように会社に要求することができます。

 

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上記のように、法律上、36協定の上限を超えて残業をした場合でも残業時間どおりに残業代を払ってもらう権利があります。しかし、このような場合、現実には、会社が正しく残業時間を記録してくれないことや、残業時間どおりの残業代を払ってくれないことが多いかと思います。

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