2017/12/29

「サービス残業は当たり前」は本当か?サービス残業の実態についての調査まとめ

執筆者 編集部弁護士

サービス残業が明示・黙示に強要されている会社では、「サービス残業は、社会人として当たり前」と言われることが多いと聞きます。
そのため、このような会社で働いている方は、サービス残業をさせることは法律(労働基準法※1)に違反するけれども、「実態としては、ほとんどの社会人にとってサービス残業は当たり前」と思っている方も多いかと思います。

一方で、実際にはサービス残業など一切ない会社もたくさんありますし、サービス残業をしていない従業員の方も大勢います。
そこで、この記事では、日本のサービス残業の実態や平均的な残業時間・サービス残業時間について、各種インターネット・アンケート(※2)の結果をまとめました。

※1 サービス残業をさせた場合、会社や上司には罰則があります(詳しくは、この記事
※2 対象者数1000名以上のインターネット・アンケート調査をまとめました(詳しくは記事末尾)。

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1.残業・休日出勤の実態

1-1.残業をする人の割合

まず、会社で働いている人(給与所得者)のうち、残業をすることがある人の割合は、60%~80%のようです。

そのうち、男性については70%以上が残業をすることがあり、特に20代~30代の男性では80%以上が残業をしているようです。

なお、業種でみると、IT(情報通信)や学校(教育・学習支援)で残業をする人の割合が高く、全業界の平均より20%程度高いとのアンケート調査もあります。

 

1-2.平均的な残業時間

残業をすることがある人が1か月の平均残業時間についてみてみます(下記の割合はいずれも残業をすることがある人の人数に対する割合)。
各種調査をまとめると、残業をすることがある人のうち30~50%は月20時間以上の残業をしていて、10~20%は月40時間以上の残業を、5~10%は月60時間以上の残業をしているようです。さらに、月100時間以上という過労死基準レベルの残業をしている人の割合が4%であるという調査結果もありました。

性別・年齢でみると、男性の方が平均的な残業時間が長く、平均で女性より月10時間程度多く残業しているようです。
また、月60時間以上の長時間残業をしている割合が高いのは、30代~40代の男性のようです。

業種では、運輸業で残業時間が長く、平均より月10時間程度多く残業しているようです。その他、保険・金融業や建設業、サービス業等が残業時間が長い傾向があるようでした。

雇用形態でみると、月20時間以上残業をする人の割合は、正社員の方が非正規社員より10%程度高く、月60時間以上の長時間残業をしている割合も1.5倍ほどあるようでした。

 

1-3.残業の原因

残業の原因についてのアンケート(複数回答)では、「業務量が多すぎること」や「人手不足」が5割程度と回答のトップを占めていました。

 

1-4.持ち帰り残業

次に、職場での残業ではなく、自宅に仕事を持ち帰っての残業(風呂敷残業)をする人の割合については、20%程度の人が持ち帰り残業をすることがあると回答しており、4%程度の人はほぼ毎日持ち帰り残業をしていると回答していました。

業種でみると学校(教育・学習支援)業で持ち帰り残業をする人の割合が高く、40%程度の人が持ち帰り残業をしていて、10%程度の人はほぼ毎日持ち帰り残業をしているようです。

 

1-5.休日出勤

では、休日に出勤する方はどの位いるのでしょうか。
アンケートによると、休日出勤をする人の割合は30%程度で、月4日以上(≒週1日以上)休日出勤する人も5%程度いるようです。

業種でみると、学校(教育・学習支援)業で休日出勤をする人の割合が高く、50%程度の人が持ち帰り残業をしているようです。そのほか、運輸業や建設業、金融・保険業、公務員も休日出勤をする人の割合が高く、40%程度の人が持ち帰り残業をしているようです。

運輸業では、月4日以上休日出勤する人の割合も高く、10%程度の人が月4日以上休日出勤しているようです。

 

2.サービス残業(未払い残業)の実態

2-1.サービス残業をしなくてはならない人の割合

会社で働いている人(給与所得者)のうち、サービス残業(未払い残業)をしなくてはならないことがある人の割合は、30~40%のようです。
正社員ではその割合が高く、40~50%の人はサービス残業をしなくてはならないことがあるようです。
特に、教育・学習支援(学校)でサービス残業をしなくてはならない人の割合が高いようです。

会社には残業代を支払う法的義務があり、会社が従業員にサービス残業をさせることは労基法37条違反です(教員等の一部の例外を除きます。)。違法にサービス残業をさせられている人が3割をこえる状況は異常といえます。

他方で、正社員でもサービス残業をすることがない人は50%以上いるということも重要な事実です。そのため、「サービス残業は社会人なら当たり前」というのは誤りといえるでしょう。

 

2-2.平均的なサービス残業時間

サービス残業をしなくてはならない人の1か月あたりの平均的なサービス残業(以下、「サビ残」といいます)時間を見てみます。
サビ残をしなくてはならない人のうち、20%以上が月20時間以上のサビ残をしていて、10%以上が月40時間以上のサビ残を、5%以上が月60時間以上という長時間のサビ残をしているようです。

正社員では、サビ残をしなくてはならない人のうち、30~50%程度は月20時間以上のサビ残をしていて、15%程度が月40時間以上のサビ残を、10%程度が月60時間以上という長時間のサビ残をしているようです。また、月100時間以上のサビ残をしている割合も5%程度あるとの調査結果もあります。

このように長時間のサービス残業をしなくてはならない状況にある人は多数いるのが現状です。月に何十時間分も残業代という賃金が支払われていないというのはあまりに不公正でしょう。

ただし、上記の平均的なサビ残時間はサビ残をしている人数に対する割合です。
会社で働いている人全体の人数に対する割合でいえば、月20時間以上サビ残をしている人は10%程度、正社員でも15%~20%程度です。月40時間以上サビ残をしている人の割合は4%程度、正社員でも7%程度です。
したがって、「ほぼ毎日1時間以上もサービス残業をしている」人は正社員でもごく一部であり、決して社会人として当たり前ではないといえます。このような未払い残業は、違法であり、かつ社会的にも異常なものといえるでしょう。

 

3.まとめ

各種のアンケート調査から、平均的な残業時間やサービス残業の実態についてまとめました。
サービス残業時間の実態については、アンケートからは、長時間サービス残業をしている人も多くいることがわかる一方、「ほとんどの社会人はサービス残業を当たり前のこととして行っている」という話は誤りであるということが明らかになったのではないでしょうか。

長時間のサービス残業をさせられている方は、会社の言うことを安易に信じないほうがいいでしょう。
未払い残業代の請求は、転職や退職の後でも可能です。在職中から残業の証拠を残しておくなどの対策や、転職・退職前の弁護士への相談をおすすめします。

 

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*調査対象アンケート:日本労働総連合会の委託で調査会社が実施した調査(2015年「労働時間に関する調査」、2017年「36協定に関する調査」)、インターワイヤード株式会社の調査(2017年「長時間労働」に関するアンケート)、株式会社イマージョンの調査(2017年「残業実態調査」)、連合総研の調査(2017年10月「勤労者短観」)。

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