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残業代コラム残業代コラム

2020/03/09

【弁護士監修】意外と知らない!?正しい残業代の計算方法

執筆者 編集部

日本のサラリーマンの平均残業時間は、年齢が高くなるほど短くなる傾向にあります。つまり、若い人ほど残業をたくさんしているといえます。

年齢が低い方は、年齢が高い方と比べると賃金も低いことが多く、20代~30代の方たちのなかには「低賃金で休暇を取る余裕もない」という状況に置かれている人も少なくありません。さらに近年では、法律上定められた残業代が支払われないケースも多く存在し、社会問題ともなっています。

残業代の未払いは、法的手続きを適切に行えば取り戻すことは可能ですが、具体的に何をすればよいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、サラリーマンの平均残業時間などについて詳しく見ていくとともに、残業代が未払いである時の対処法について解説します。

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【監修】鎧橋総合法律事務所 早野述久 弁護士(第一東京弁護士会)

監修者プロフィール
・株式会社日本リーガルネットワーク取締役
監修者執筆歴
・ケーススタディで学ぶ債権法改正、株主代表訴訟とD&O保険ほか

【目次】

1. 通常の勤務体系の場合

残業代は、

残業代=残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率
という式で計算します。

「残業時間」「1時間当たりの基礎賃金」「割増率」については、これから詳しく説明します。
(変形労働時間制やフレックスタイム制の方は、2.や3.をご覧ください。)

1-1. 残業時間

残業代を計算するには、まずは残業時間がどれくらいかを知る必要があります。

1-1-1. 残業時間=「所定労働時間を超える労働時間」

「残業時間」は、「所定労働時間」を超える労働時間です。
毎日同じ定時で働いている場合や、定時が日ごとに違ってもシフト制で勤務している場合には、会社との雇用契約や就業規則で、1日あたり何時間働くか(定時など)、1週間あたり何時間働くかという「所定労働時間(しょていろうどうじかん)」が決められているはずです。
この所定労働時間を超えて働いた時間が、残業時間となります。

1-1-2. 所定労働時間には法律上の上限がある

この所定労働時間ですが、会社がどれだけ長く決めてもいいというわけではありません。労働基準法(労基法)により、所定労働時間は、1日8時間、1週間で合計40時間までとすることが決まっています。この1日8時間、1週間で合計40時間の労働時間を「法定労働時間(ほうていろうどうじかん)」といいます。
法定労働時間より長い所定労働時間が就業規則などで決まっているとしても、労基法によって無効となります。そしてこの場合、1日8時間、1週間で合計40時間の法定労働時間を超えて働いた部分が、全て残業時間となります。
ただし、小売業等の小規模な事業場では、法定労働時間が1週間で合計40時間ではなく、1週間で合計44時間となる例外もありますので、ご注意ください。(これからの説明で「1週間で合計40時間」としている部分についても、基本的に同じです。)

1-1-3. 休日労働の場合

労基法は、1週間に1日(または4週間に4日)の休日を労働者に与えなければならないと定めています。この規定によって労働者に与えられた休日を「法定休日(ほうていきゅうじつ)」といいます。法定休日に働いた時間は、長くても短くても、その全てが残業時間となります。

例えば、休日が週1日の方の場合、その日が法定休日です。
土日休みなど、週休2日以上の契約で働いている方も多いと思います。この場合、就業規則などで、どの曜日が法定休日かが決まっていれば、その曜日が法定休日になります。
どの曜日が法定休日かが決まっていない場合は、休みの曜日のどちらかが法定休日になります。
(どの曜日が法定休日になるかは法律上の解釈によって決まるのですが、法律で確固たる決まりがあるわけではありません。例えば、土日休みの場合も、土曜日を法定休日とする行政解釈がある一方で、日曜日を法定休日とする裁判例もあります。)
法定休日以外の休日における労働は、通常の勤務日における労働と同様に扱われます。

1-1-4. 36協定違反との関係

会社が法定労働時間を超える残業や法定休日の残業をさせるには、原則として36協定(さぶろくきょうてい)が締結されていることが必要です。36協定では、1か月あたり45時間以内といったように、残業時間の上限が決まっています。
この36協定の残業時間の上限は、残業代の計算とは関係がありません。つまり、36協定の上限以上に残業させられたという場合であっても、36協定の上限に関係なく、実際に労働した時間をもとに残業時間と残業代を計算します。

1-2. 1時間あたりの基礎賃金の計算

残業代=残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率
でした。

次は、1時間あたりの基礎賃金の計算方法です。
「1時間あたりの基礎賃金」は、残業1時間につき、基本的に何円もらえるかという金額のことです。いわば「時給」のようなものです。
1時間あたりの基礎賃金は、普段の給料から決まる「基礎賃金(きそちんぎん)」の額を、1時間あたりに割って、計算します。
具体的な計算の仕方については、これから説明します。

1-2-1. 基礎賃金には、基本給と一部の手当てが含まれる

基礎賃金は、普段もらっている給料の額によって決まります。ただし、一部の手当・ボーナスなどは、普段の給料の額から差し引かなければなりません。差し引かれる手当・ボーナスなどは、次のとおりです。

1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナス等)
通勤手当
住宅手当
家族手当
別居手当
子女教育手当
臨時に支払われた賃金
もっとも、各種手当やボーナスという名前なら必ず基礎賃金から差し引かれるわけではありません。基礎賃金から除かれるためには、現実に各種手当やボーナスとしての実態がある必要があります。実質的な基本給が家族手当などに付け替えられても、残業代の金額が減ることはありません。

1-2-2. 基礎賃金の具体的な計算方法

基礎賃金の金額が把握できたら、次は、1時間あたりの基礎賃金を計算します。

月給制の場合は、月の基礎賃金の額を、就業規則などで決まっている1か月間の労働時間(所定労働時間)で割ります。
ただし、月によって日数や土日の数が違いますから、1か月間の所定労働時間は毎月違うのが通常です。この場合、1か月間の所定労働時間を、1年間の平均から求めます。

<具体例>
月給24万6000円、就業規則上は1日8時間労働で土日祝日、年始(1月3日まで)、年末(12月29日以降)が休みの場合を考えてみます。
2017年の1年間の勤務日数は246日(休みが119日)で、1年間の所定労働時間(就業規則上の労働時間)は、
8時間×246日=1968時間
となります。
したがって、1か月の所定労働時間は、
1968時間÷12か月=164時間
となり、1時間あたりの基礎賃金は、
24万6000円÷164時間=1500円
となります。
年俸制の場合も、月給制の場合と同様、年俸の金額を就業規則などで決まっている1年間の労働時間(所定労働時間)で割って、1時間あたりの基礎賃金を求めます。年俸制だから残業代を請求できないということはありません。

1-3. 残業代の割増率

残業代=残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率
でした。

次は、割増率です。
割増率(わりましりつ)は、法定労働時間(1日8時間、1週間で合計40時間)を超えた残業かどうか、深夜(午後10時から午前5時まで)の残業かどうか、法定休日の残業かどうかによって、異なる率が定められています。

1-3-1. 法定の時間を超える残業の場合

実際の労働時間が法定労働時間(1日8時間、1週間で合計40時間)を超えた場合、その法定労働時間外の残業については、割増率を1.25倍として残業代を計算します。

<具体例>
1時間あたりの基礎賃金が1500円の人が、月曜日に8時間、火曜日に9時間、水曜日に8時間、木曜日に10時間、金曜日に9時間、土曜日に2時間働いた場合を考えてみます。
所定労働時間は1日8時間、1週間で合計40時間(法定労働時間と同じ)とします。また、法定休日は日曜日とします。
この場合、火曜日の1時間分、木曜日の2時間分、金曜日の1時間分が、1日8時間の法定労働時間の上限を超えます。また、土曜日の2時間分も、1週間で合計40時間の法定労働時間の上限を超えます。
したがって、これらの合計6時間が残業時間となり、この残業は法定労働時間外のものとなります。
したがって、この週の残業代は、
1500円×6時間×1.25=1万1250円
となります。
この法定労働時間外の残業が、深夜(午後10時から午前5時まで)である場合には、割増率を1.25倍ではなく1.5倍として、残業代を計算します。

1-3-2. 法定の時間を月60時間以上超える残業の場合

中小企業ではない大企業では、法定休日以外の実際の労働時間が法定労働時間を1か月あたり60時間以上超えた場合、その60時間を超えた部分の残業については、割増率が高くなります。
この場合、1か月あたり60時間を超える部分の割増率は1.5倍として計算します。深夜残業にも該当する場合には、割増率を1.75倍として計算します。

<具体例>
1時間あたりの基礎賃金が1500円の人が、法定労働時間が160時間の月に、法定休日以外で265時間働いた場合を考えてみます。所定労働時間は法定労働時間と同じであるとします。
この場合、残業時間は、
265時間-160時間=115時間
です。これは60時間を超えているため、
115時間-60時間=55時間
の部分については、割増率が1.5倍になります。
したがって、残業代は、
1500円×60時間×1.25=11万2500円(60時間以下の部分)
1500円×55時間×1.5=12万3750円(60時間を超える部分)
→11万2500円+12万3750円=23万6250円(合計)
となります。
この割増率の加算は、今のところ中小企業ではない大企業だけが対象です。中小企業では、残業時間が法定労働時間を1か月あたり60時間以上超えたとしても、割増率は1.25倍(深夜残業でもある場合は1.5倍)で変わりません。
割増率が変わらない中小企業は、以下の条件に該当する企業です。

小売業 資本金5000万円以下、または、常時使用する労働者50人以下
サービス業 資本金5000万円以下、または、常時使用する労働者100人以下
卸売業 資本金1億円以下、または、常時使用する労働者100人以下
その他の事業 資本金3億円以下、または、常時使用する労働者300人以下

1-3-3. 休日労働の場合

休日に働いた場合は、その休日が法定休日かどうかによって、割増率が異なります。

法定休日に働いた時間は全て残業時間になります。
法定休日に残業した場合、残業時間に1時間あたりの基礎賃金を掛けて、その上さらに1.35倍の割増率を掛けて、残業代を計算します。
深夜残業にも該当する場合は、割増率を1.35倍ではなく1.6倍として、残業代を計算します。

法定休日以外の休日に残業した場合は、この割増率の対象ではなく、通常の勤務日における残業の場合と同じです。

1-3-4. 就業規則などに割増率の定めがある場合

ここまでで説明してきた割増率は、雇用契約や就業規則に割増率の決まりがない場合の法定の割増率です。
もし雇用契約や就業規則で、法定の割増率より高い割増率が決まっていれば、雇用契約や就業規則で定めた割増率が適用されることになります。
他方で、雇用契約や就業規則に、割増率を法定の割増率未満にすると書いてあったとしても、それは労基法によって無効になります。この場合、法定の割増率で残業代が計算されることになります。

1-3-5. 法定の時間内の残業の場合

所定労働時間は、会社との雇用契約や就業規則で決まります。この所定労働時間は、1日8時間、1週間で合計40時間の法定労働時間より短く定められている場合があります。パート勤務などを想像してもらえば、イメージが湧きやすいかと思います。
このような場合、所定労働時間分は超えているが、法定労働時間は超えていない残業が発生しうることになります。例えば、週に20時間働く契約にもかかわらず、週に30時間働いたような場合です。このような法定労働時間の範囲内で所定労働時間分を超えた残業のことを、「法定内残業(ほうていないざんぎょう)」といいます。

法定内残業の残業代については、雇用契約や就業規則に決まりがあることもあります。この場合、基本的にはその規定に基づいて残業代を計算します。
これに対して、法定内残業の取り扱いが雇用契約や就業規則に書いていない場合もあります。この場合には、法定労働時間を超えた残業とは異なり、法定内残業の場合は1.25倍の割増率を掛けることはありません。単純に、残業時間に1時間あたりの基礎賃金を掛けて、残業代を計算します。

<具体例>
1時間あたりの基礎賃金が1500円で、土日休みの週休2日、所定労働時間が1日7時間の人を例にとって考えてみます。
この人が、月曜日に8時間、火曜日に7時間、水曜日に7時間、木曜日に10時間、金曜日に8時間、働いたとします。
この場合、木曜日の2時間分は法定労働時間(1日あたり8時間)を超えます。他方で、月曜日の1時間分、木曜日の1時間分、金曜日の1時間分については、所定労働時間は超えるものの、法定労働時間(1日あたり8時間、1週間あたり40時間)の範囲内です。
したがって、この場合、法定労働時間外の残業が2時間、法定内残業が3時間となるため、この週の残業代は、
1500円×2時間×1.25=3750円(法定労働時間外の残業)
1500円×3時間=4500円(法定内残業)
→3750円+4500円=8250円(合計)
となります。
法定内残業であっても、深夜残業に該当する場合には、1.25倍の割増率を掛けて、残業代を計算します。

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2. 変形労働時間制の場合

ここまでは、毎日同じ定時で働いている場合や、定時が日ごとに違ってもシフト制で勤務している場合といった、典型的な働き方の場合を前提に説明してきました。
次は、変形労働時間制の場合について説明します。

2-1. 変形労働時間制とは

「変形労働時間制(へんけいろうどうじかんせい)」は、ある期間については短時間だけ働く代わりに、別の期間には1日8時間以上または1週間で合計40時間以上働くといったような制度です。

変形労働時間制では、短時間だけ働く期間と長時間働く期間をまとめて、1セットの期間と考えます。
変形労働時間制では、就業規則などで、どの期間を1セットの期間とするかが決められています。また、その1セットの期間に何時間働くかという労働時間数も決められています。
この労働時間数には上限があり、法定労働時間の総枠を超えてはなりません。法定労働時間の総枠は、40時間×清算期間(1セット)の日数÷7で求められます。

この他にも、変形の対象となる期間の長さによっては、労基法でさらなる規制が課されています。

2-2. 変形労働時間制での残業代の計算方法

変形労働時間制でも、
残業代=残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率
です。

2-2-1. 残業時間

変形労働時間制でも、所定労働時間(就業規則などで決められた労働時間)を超えた時間が残業時間になります。
法定休日に働いた場合には、働いた全ての時間が残業時間になります。

2-2-2. 1時間当たりの基礎賃金の計算

1時間あたりの基礎賃金は、通常の勤務体系の場合と同様に計算します。(1-2.をご覧ください。)

2-2-3. 残業代の割増率

法定労働時間外の残業は、割増率が1.25倍(深夜労働でもある場合は1.5倍)になります。

法定労働時間外の残業は、以下のいずれかに該当する残業です。

1日について、①所定労働時間が8時間を超える場合は所定労働時間を超えた部分の残業で、②そうでない場合は8時間を超えた部分の残業

1週間について、①所定労働時間が40時間を超える場合は所定労働時間を超えた部分の残業で、②そうでない場合は40時間を超えた部分の残業

変形の対象となる1セットの期間について、40時間×その期間の日数÷7で求められる法定労働時間の総枠を超えた部分の残業

中小企業ではない大企業においては、1か月あたりの法定労働時間を60時間以上超える部分の残業については、割増率が1.5倍(深夜労働でもある場合は1.75倍)になります。
他方、法定労働時間外の残業には該当しないものの、所定労働時間を超えた部分の残業、すなわち法定労働時間内の残業については、割増率を掛けることはありません。その部分の時間に1時間あたりの基礎賃金を掛けた金額が、そのまま残業代の金額になります。ただし、深夜労働でもある場合は、割増率1.25倍を掛けた金額になります。

<具体例>
1時間あたりの基礎賃金が1500円で、土日休みの週休2日、変形の対象となる期間は1か月ごととされている人を例にとって考えてみます。
1か月が28日間となる日曜始まりの月に、所定労働時間が
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1週目 8時間 8時間 8時間10時間 8時間
2週目 6時間 8時間 8時間 8時間 6時間
3週目 8時間 8時間 9時間10時間 7時間
4週目 8時間 8時間 8時間 8時間 6時間
の合計158時間で、実際の労働時間が

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1週目 8時間 8時間 8時間10時間 8時間
2週目 6時間 8時間 8時間 9時間 7時間
3週目 8時間 8時間 9時間10時間 8時間
4週目 8時間 8時間 8時間 8時間 8時間

だったとします。
この場合、法定労働時間内の残業は、2週目金曜日の1時間と4週目金曜日の1時間の合計2時間となります。
他方、2週目木曜日の1時間(1日あたり8時間を超えている)、3週目金曜日の1時間(1週あたり40時間を超えている)と4週目金曜日の1時間(法定労働時間の総枠160時間を超えている)の合計3時間は、法定労働時間外の残業になります。
したがって、この場合、
1500円×2時間=3000円(法定労働時間内の残業)
1500円×3時間×1.25=5625円(法定労働時間外の残業)
→3000円+5625円=8625円(合計)
の残業代が発生することとなります。

法定休日に働いた時間は、割増率が1.35倍(深夜労働でもある場合は1.6倍)になります。

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3. フレックスタイム制の場合


続いて、フレックスタイム制の場合について説明しましょう。

3-1. フレックスタイム制とは

「フレックスタイム制」とは、労働者自身が出退勤の時刻を決める制度です。就業規則などで「清算期間」と「総労働時間」を定め、総労働時間の範囲内で自由に出退勤時刻を調整できます。

「清算期間(せいさんきかん)」は労働時間を計算するための1セットの期間で、最大3か月の設定が可能です。例えば1か月を清算期間として定めると、1か月ごとに労働時間を計算することになります。
フレックスタイム制を導入するには、「就業規則等への規定」、「労使協定での所定事項の定め」などの条件を満たさなければなりません。
なお1か月を超える清算期間を定める場合は、さらに労使協定を所轄労働基準監督署長に届出しなければなりません。また繁忙月に偏った労働時間にすることを禁止するための規定(1か月ごとの労働時間が週平均50時間を超えないこと)も設けられています。

「総労働時間(そうろうじどうかん)」は、清算期間中に何時間働くかという労働時間数です。これには上限があり、「法定労働時間(ほうていろうどうじかん)の総枠(そうわく)」を超えてはいけません。

法定労働時間の総枠は、原則として「40時間×清算期間の日数÷7」で求められます。(清算期間が31日:177.1時間、30日:171.4時間、29日:165.7時間、28日:160時間)

この制度は、出退勤時刻を労働者が決める制度のため残業代は出ないと思われがちです。しかしそうとは限らず、総労働時間を超えて働いた場合は発生します。

3-2. フレックスタイム制での残業代の計算方法

フレックスタイム制でも、
残業代=残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率
です。

3-2-1. 残業時間

フレックスタイム制では、「総労働時間」を超えて働いた時間及び(清算期間が1か月を超える場合には)1か月の労働時間につき週平均50時間を超えて働いた時間が、残業時間になります。
法定休日に働いた場合には、通常は総労働時間とは別枠で、働いた全ての時間が残業時間になります。

3-2-2. 1時間あたりの基礎賃金の計算

1時間あたりの基礎賃金は、通常の勤務体系の場合と同様に計算します。(1-2.をご覧ください。)

3-2-3. 残業代の割増率

法定労働時間の総枠の範囲内で総労働時間を超える部分については、割増率を掛けることはありません。その部分の時間に1時間あたりの基礎賃金を掛けた金額が、そのまま残業代の金額になります。ただし、深夜労働でもある場合は、割増率1.25倍を掛けた金額になります。
法定労働時間の総枠を超える部分については、割増率が1.25倍(深夜労働でもある場合は1.5倍)になります。
また、中小企業ではない大企業においては、1か月あたりの法定労働時間を60時間以上超える部分の残業については、割増率が1.5倍(深夜労働でもある場合は1.75倍)になります。

<具体例>
1時間あたりの基礎賃金が1500円で、清算期間は1か月ごととされている人を例にとって考えてみます。
この人が、清算期間が28日間、清算期間中の総労働時間が150時間となる月に、165時間働いたとします。
この場合、法定労働時間の総枠は160時間となります。したがって、法定労働時間の総枠の範囲内で総労働時間を超える部分は10時間、法定労働時間の総枠を超える部分は5時間となります。
したがって、この場合、
1500円×10時間=1万5000円(法定労働時間の総枠内の残業)
1500円×5時間×1.25=9375円(法定労働時間の総枠を超える残業)
→1万5000円+9375円=2万4375円(合計)
の残業代が発生することとなります。

法定休日に働いた時間は、割増率が1.35倍(深夜労働でもある場合は1.6倍)になります。

なお、フレックスタイム制で、総労働時間の範囲内の労働であっても、深夜(午後10時から午前5時まで)に労働した場合には、別途賃金が割増されます。
この割増の金額は、深夜労働した時間に1時間あたりの基礎賃金を掛け、さらに0.25を掛けた金額になります。

 

4. 裁量労働制の場合


次は「裁量労働制」について説明しましょう。この労働ケースの概要と基本ルールに加え、残業代の計算をする際には通常とどのような違いがあるのか、どのようなことに気を付ければよいのかなどを丁寧にまとめました。まずは、概要と基本ルールから見ていきましょう。

4-1. 裁量労働制とは

「裁量労働制」とは、実働時間にかかわらず、あらかじめ定めた時間働いたと考える(みなす)制度で、「みなし労働時間制」ともいいます。例えば1日7時間を「みなし労働時間」とした場合、実際は5時間しか働いていなくても、逆に9時間働いたとしても、「7時間働いた」とみなすのです。

この働き方はある一定の職種や業務にのみ適用できるもので、例としては企画担当や研究開発、記者、デザイナー、証券アナリストなどが挙げられます。労働時間と仕事の成果が比例するとは限らない業務等において、採用されることが多いといえるでしょう。

また、採用するには使用者と労働者(労働者代表)の間で「労使協定」を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。

4-2. 裁量労働制での残業代の計算方法

裁量労働制では、みなし労働時間が法定労働時間を超えている場合に、その分の残業代が発生します。また、深夜時間帯の労働や法定休日労働には、それに対する割増賃金も加算されることを忘れないようにしましょう。そのうえで、基本の計算式は変わりません。

残業代=残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率

1時間あたりの基礎賃金を求める式も通常どおりです(1-2.をご覧ください)。少しややこしいと感じるかもしれませんが、例えば「所定労働時間(1日)が8時間」と定めている会社で「みなし労働時間が9時間」のケースでは、9時間から8時間を引いた「1時間」は残業時間となります。上の計算式に当てはめ、残業代を請求することが可能です。

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5. 日給制の場合

次は「日給制」について見ていきましょう。この労働ケースの基本的なルールや残業代を計算する際に気を付けるポイント、他のケースと違いがあるのかなどを分かりやすく解説しています。まずは基本的なルール・概要から見ていきましょう。

5-1. 日給制とは

「日給制」とは、1日単位で金額を決め、出勤日数に応じて賃金を支払う制度です。支払いは「日」「週」「月」のいずれかの単位で行います。必ずしもその日に支払われるわけではありません。

一番の特徴は、出勤日数に応じた額が支給されることです。そのため、遅刻や早退、欠勤の影響が少ない完全月給制に比べると収入は不安定になるでしょう。

多くの会社では月給制(完全月給制あるいは日給月給制)を採用していますが、中小企業や零細企業では日給制を取り入れているケースもあります。天候の影響が大きい野外での作業が多い企業も、導入しているところが多いようです。また、アルバイトやパートタイム、日雇い労働者に関しても多く取り入れられています。

5-2. 日給制での残業代の計算方法

計算方法は月給制と変わりません。所定労働時間を超えれば残業代が発生し、計算式も同じものを使います。

残業代=残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率

1時間あたりの基礎賃金は、契約で定めた「日給額」を「所定労働時間」で割って求めましょう。割増率については、法定労働時間を超えた残業分にのみ1.25倍(深夜時間帯にかかる場合は1.5倍)が加味されます。法定内労働の場合は基礎賃金がそのまま残業代になるということです。

「日給1万円、所定労働時間5時間」という条件のもと10時間働いたケースで考えてみましょう。

時給(1時間あたりの基礎賃金)は、1万円÷5時間=2,000円です。8時間の範囲におさまった残業時間(3時間)は法定内労働のため、時給2,000円がそのまま加算されます。一方で8時間を超えた2時間分の残業には1.25倍の割増賃金が適用されるため、2時間分の時給は2,500円です。

6. 管理職の場合

「管理職」と残業代の関係についても説明しましょう。管理職には法律上の「管理監督者」にあたるケースと、そうでないケースの2通りがあり、それぞれ残業代の計算方法が異なります。誤解されることも多い点をしっかり解説しているのでチェックしてください。

6-1. 管理職とは

上でも触れたように、管理職には2種類のケースがあります。1つは法律上の「管理監督者」に該当する管理職、もう1つは法律上の管理監督者ではないけれども社内では「管理職」と呼ばれるポストに就いているケースです。後者は「名ばかり管理職」ともいわれます。

前者の管理監督者には、残業や休日出勤に対する割増賃金が法律で義務づけられていません。しかし後者の管理職であれば、通常どおりに割増賃金が発生します。この違いを理解しておきましょう。管理監督者ではない社内上の管理職なのに割増賃金が支給されていない……という場合は違法になります。

6-2. 管理職の残業代の計算方法

「名ばかり管理職」の場合は残業代の考え方や計算方法など、すべて他の社員と変わりません。

残業代=残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率

一方で管理監督者の場合は、法律で義務づけられていないため基本的に残業代は発生しませんが、深夜時間帯(22時~翌朝5時)の残業に対しては「深夜手当」として割増率(1.25倍)が発生します。法定労働時間外の残業に対する割増率「1.25倍」が適用されないため、通常の深夜残業割増率(1.5倍)よりは少なくなります。

休日深夜労働を行った場合も同じで、管理監督者の場合は深夜手当としての割増率(1.25倍)のみ適用されます。

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7. 残業代の請求方法

本来もらえるはずの残業代をきちんと受け取れていない場合は、不足分を会社に請求することが可能です。請求にはどのような準備が必要なのか、どのようなタイミングで行えばよいのかなどを詳しく説明します。正しい残業代が支払われていない方はぜひチェックしてください。

7-1. 残業代の請求に必要な証拠書類を用意する

残業代を会社に請求するには、実際に働いた時間が分かる証拠資料を用意することが重要です。代表的なものとしては、「タイムカード」や「労働時間管理ソフト」などの記録が挙げられます。各人にパソコンが支給されている職場であれば、パソコンのログイン時間・ログオフ時間が証拠になる可能性もあるでしょう。

支払われた給与額を示す「給与明細」などの資料も大切です。手元にない場合は経理部などに再発行をお願いすれば対応してくれるでしょう。就業時間や休日、給料といった労働条件が記載されている「就業規則」「雇用契約書」等も用意しておきたい資料のひとつです。

7-2. 請求のタイミングを考える

未払いの残業代は取り返したいけれど、「会社と争うのは不安」「会社内で気まずい思いをするのではないか……」などと躊躇してしまう方も多いかもしれません。できれば波風を立てずに働きたいと思うのは当然のことでしょう。

その場合は、会社を辞めた後に請求するという選択肢もあります。残業代請求には「2年」という時効が設けられており、その期間内なら問題なく請求できるからです。まだ働くつもりがあるからと諦める必要はありません。

退職後の残業代請求を確実なものにするためにも、上で紹介したような「証拠となる資料」は在職中から集めておきましょう。

7-3. 会社へ通知書を送付する

証拠書類を揃えたら、会社に対して「通知書」を作成し郵送します。通知書には「在職期間」「残業代が未払いになっている事実」「残業代の基礎となる賃金額」「残業時間」「未払い残業代の総額(請求額)」などを記載するとよいでしょう。

一般的には、「●●年●●月●●日までにお支払いください」といったように期限を決めて明確に支払いを要求します。「期日までに支払いがない場合は法的手段をとるつもりがある」という内容の一文も添えるとよいでしょう。

会社がこの通知書を無視した場合は、「内容証明郵便」として送付する方法もあります。内容証明郵便は「手紙の内容」「手紙を出した事実」「手紙を出した日付」を郵便局が証明してくれるもので、後々消滅時効の成否などに関して争いになった際に有効な証拠になります。

7-4. 弁護士へ相談する

内容証明郵便は弁護士の名前で出すとより効果的です。弁護士を通した請求となれば会社もおざなりな対応はできません。

また、先ほど挙げた証拠書類が少ない場合や確保できない場合も弁護士に頼むのがよいでしょう。会社に証拠書類の提出を請求する際、弁護士を通したほうがスムーズな対応を期待できるからです。

会社が争いの姿勢をみせてきた場合も、弁護士がついていれば的確な主張と法的処理によって対抗してくれます。自分で請求するよりも残業代を取り戻せる確率が高く、取り戻せる金額が上がるかもしれません。残業代請求において、弁護士を利用することには多くのメリットがあります。

8. まとめ

残業代の計算方法や、会社に対する未払い残業代の請求方法を紹介してきました。残業代請求には「正しい計算」「会社に無視されないための対策」が不可欠であり、この点において弁護士へ依頼することには大きなメリットがあります。

ただし弁護士に相談する場合、残業代請求の成功/不成功にかかわらず、最初に依頼するための着手金が必要な場合が多々あります。残業代請求が通るか分からない中で、弁護士に数十万円を最初に渡すのは抵抗がある方も多いかもしれません。

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